8月13日試合結果&リポート
天龍プロジェクト『SURVIVE THE REVOLUTION VOL.8』
8月13日 東京・新木場1st RING
コロナ禍により実施が危ぶまれる雨の中、新木場大会が総勢18選手参加で実施。メインイベントでは、背水の陣で第21代王者・HUBに挑んだ拳剛が、執拗な首攻めを耐え抜き、前回の王座決定戦(6月12日)で敗れたHUBの必殺アルマゲドンを切り返し、起死回生のブレーンバスターからの強引なエビ固めで逆転勝ち。悲願のIJ(インターナショナルジュニア)王座を手にすると同時に、なんと第2代王者に名を刻むクリス・ジェリコとの防衛戦を訴えた。また第3試合で組まれた因縁の「佐藤光留vs矢野啓太」は、高度な寝技技術を競い合う展開から、互いにノーガードで頭突きを打ち合う予想だにせぬ展開に…。最後は両者意識もうろうとなりつつ、無意識のまま上になった佐藤が3カウント奪取で勝利。ともに「変態」「変人」を自称する佐藤と矢野が、現在のプロレス界の主流となる「流れるように綺麗なプロレス」に強烈なアンチテーゼを投げかける内容となった。
第1試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
〇進 祐哉 菊タロー●
LEONA vs アンディ・ウー
【9分21秒 ブレーンバスター潰し ⇒ 片エビ固め】
第2試合 タッグマッチ(30分1本勝負)
〇高岩 竜一 新井健一郎
KAMIKAZE vs 翔 太●
【11分4秒 デスバレーボム ⇒ 片エビ固め】
第3試合 30分1本勝負
〇佐藤 光留 vs 矢野 啓太●
【13分50秒 頭突き ⇒ 体固め】
セミファイナル 6人タッグマッチ(45分1本勝負)
佐藤 耕平 鈴木 みのる
〇河野 真幸 vs MAZADA●
TORU FUJITA
【20分36秒 ランニングニー ⇒ 片エビ固め】
メインイベント インターナショナルジュニアヘビー級選手権(60分1本勝負)
〈挑戦者> 〈王 者〉
〇拳 剛 vs H U B●
【23分00秒 垂直落下式ブレーンバスター ⇒ エビ固め】
※拳剛が第22代王者に
【拳剛コメント】
怒られるの覚悟して、ガンガンと自己表現と自己主張して挑戦権つかんだんで、このベルトは挑戦権を争ったTORUと一緒に獲ったような気持ちもあります。でも、ホンマにここからなんで。これからは狙われる立場ですから、気持ちを引き締めてやっていきたい。ずっとチャレンジャーの気持ちのままのチャンピオンでいたい。(トロフィーに刻まれた歴代王者の名前を目に)凄い名前が歴代王者に刻まれています。このみんなと防衛戦やりたいんですけど、特に2代目王者のライハン・ハート、(現在の)クリス・ジェリコと防衛戦をやりたい。やっぱり「世界の男」ですからね。歴史を塗り替えるじゃないですけれど、本物のIJチャンピオンとして、世界が注目する選手を倒さないと、オレ、これ以上、上に行けんかなという気持ちなんで。相変わらずビッグマウスかますけど、それがオレなんで。
【天龍源一郎の眼】
拳剛は今まで貧乏くじ引いていたというか、めぐり合わせもあるんだけど、いつも目の前を通り過ぎていったベルトだったから、「ああ、ベルトを取れて良かったな」というのが正直なところ。試合その物については、「拳剛だから、これぐらいのことはやるだろう」って目で見ていましたよ。彼のもとにあって良かったなという安堵感のほうが強い。綺麗に飾ったジュニアのチャンピオンじゃなくて、ヤンチャなチャンピオンになって欲しい。こういう世論、ご時世、世の中だからこそ、癇癪玉のようにババーンと弾けたプロレスを見てみたいね。
そういう意味で佐藤光留と矢野啓太の試合(第3試合)。長年、プロレスに関わっているけど、あの顛末にはビックリした。序盤の(寝技を中心とした)攻防は想像できたんだけど、(後半の頭突きの打ち合いは)俺の想像をはるかに超えていた。オーバーでなく、あれを至近距離で見られたお客さんは「いいお土産」を持ち帰ったと思うよ。今のプロレスに対して、何か疑問符のようなモノを投げかけた、表明してくれたっていう部分で、凄く嬉しい。お客さんも一生懸命、リングの中を注視してくれていたしね。かつてボクらが知っている「プロレス」ってのは、こんな感じだった。たまたま佐藤光留と矢野啓太って選手で組める対戦カードがあって、「この選手だったら、そういう闘いになるだろう」と思い、(嶋田紋奈)代表に頼んで一騎打ちを組んでもらったら、俺の想像をはるかに超えた闘いを見せてくれた。前回の6メン(タッグマッチ)に続いて、今回の一騎打ちもお腹いっぱいだ。「見たか!」って感じですよ。